乾癬
乾癬(かんせん)
乾癬とは赤く盛り上がった皮膚の上に、銀白色をしたカサカサしたフケのような垢(鱗屑:りんせつ)が付着しボロボロと剥がれ落ちる皮膚病の一種で、炎症性角化症の一つに分類されています。
炎症性角化症とは、なんらかの要因によって真皮の血管が炎症を起こし、表皮細胞の分裂・増殖を異常に亢進することによって、表皮が皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が異常に早められるという症状です。
病変部の大きさや数は人によってまちまちですが、時には複数の病変部が融合して大きな病変を作ることもあり、また痒みを伴うこともあります。
発症原因が特定されていないために、根本的な治療法がなく、さらに症状がよくなったり悪くなったり(寛解と増悪)を繰り返す慢性疾患であるため、治療に長い時間を必要とする難治性皮膚疾患とされています。
乾癬は、長いこと極稀にみられる皮膚疾患として認識されていました。
しかし近年になって生活習慣の欧米化と並行してその患者数が増加し、現在では約10数万人の患者がいると推定されています。
尋常性乾癬、関節の痛みを伴う関節症乾癬、体全体が真っ赤になる乾癬性紅皮症、膿がたまる膿疱性乾癬、比較的子供によく見られる滴状乾癬に分類されていますが、患者の約9割を占めているのが尋常性乾癬となるため乾癬といえば尋常乾癬のことを指すのが一般的です。
乾癬の発症原因に関しては現在のところ明確にはされていないものの、遺伝的要因や免疫の異常によるものとする説が一般的です。
ウイルスや細菌などの感染性の病原体によって引き起こされるものではないため、他にうつることは決してありません。
◆尋常乾癬の症状◆
赤く盛り上がった皮膚の上に、銀白色をしたカサカサしたフケのような垢(鱗屑:りんせつ)が付着しボロボロと剥がれ落ちる症状が、時によって現れたり消えたりします。
◆乾癬の治療法◆
個々の患者の病状に応じた外用薬、内服薬、紫外線による療法(光線療法)が一般的です。
乾癬は慢性疾患であるうえに根治療法も存在しませんが、根気良く治療を続けることによって症状のでない期間を長期保つといった病状のコントロールが可能となっています。
また、場合によっては症状が自然消褪することもあるとされています。
乾癬の治療は副作用の少ない外用薬(塗り薬)の使用から開始するのが一般的です。
乾癬治療として主に用いられる外用薬にはステロイド薬と活性型ビタミンD3外用薬などがあり、中でもストロイド薬は皮膚の炎症を抑え、比較的短期間で治療効果を発揮するため、乾癬外用薬治療の中心として広く使用されています。
ただし長期の使用は皮膚を薄く、弱くするため、細菌感染などを起こしやすくすることが指摘されています。
また、活性型ビタミンD3外用薬は皮膚の表皮細胞の分裂・増殖を抑制する作用により、症状の改善をもたらすものです。
治療効果が表れるまでに2、3カ月ほどかかるとされていますが、その効果はステロイド薬と同等であるとされています。
これらの他にも外用薬としては皮膚の異常なターンオーバー(新陳代謝)機能を正常化させる作用を持つ、ビタミンA誘導・レチノイドを成分とするものが用いられる場合もあります。
内服薬は患部が広かったり、外用薬のみでは充分な効果がみられない場合に使用され、炎症を引き起こす免疫細胞の機能を抑制する免疫抑制剤や、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)の亢進を抑制するレチノイドを成分とするものがあります。
双方とも高い効果がある一方、深刻な全身性の副作用が起きることもあるため、慎重な服用が必要となります。
さらに、昔から日光浴が乾癬の症状を改善することが知られていることから人工的に紫外線を患部に照射することによって皮膚症状の改善を図る光線療法が用いられることもあります。
◆外用薬◆
1. ステロイド薬 |
2. 活性化ビタミンD3薬 |
3. ビタミンA誘導薬 |
|
||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
◆内服薬--皮膚のターンオーバーを正常化させる作用のもの◆